営業プロフェッショナルの条件 : 日米自動車販売の営業職にみる専門性と人材育成
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概要
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本論文の目的は営業職の専門性と人材育成の現状と課題を明確にし,営業プロフェッショナルやその実現の条件を検討することである。国内の日米自動車販売会社の営業職を対象とした事例を主にした研究分析を行う。ビジネス活動を担い、企業業績に直接貢献する営業職だが、経営学の研究対象となることは少なかった。本論文では、日本国内の日米自動車企業(国産J社と米系U社)とその系列販売会社のマネジャーを対象にヒアリング調査を行い、営業職務にある専門性と人材育成の考察を試みる。また営業プロフェッショナルのあり方やその実現も検討していく。まず日本における営業職の現状について概観する。自動車、生命保険、化粧品販売という代表的な営業職の特徴を整理し、自動車販売の営業職のあり方や課題を明確にする。次に、一般的な営業の職務内容をビジネス・キャリアや販売士といった資格から検討する。そこから営業マネジメント、営業関連知識、営業活動技術という営業職の専門性を見出すことができた。ここまでの前半部分では、日本の営業職を対象に検討を行った。後半は、日米自動車販売の営業職について実施したヒアリング調査とそこから考察した内容であり、本論文の中心部分となる。まず調査や販売組織の概要、さらに考察のための予備知識として、日本型、アメリカ型の自動車ディーラーの特徴を明確にする。続いてヒアリング調査に基づき、営業職の知識・行動に現れる専門性とその育成を分析する。日本国内での販売とはいえ、日米の販売施策や営業職の育成には力点の違いがみられる。営業活動において、日系は訪問先、米系ではショールームが中心であり、また日系では現場での育成が、米系では顧客組織での活動が重視されるといった差異のあることが判明した。次に本論文のもう一つの課題である、営業プロフェッショナルのあり方やその実現の条件について検討する。これは営業職の改善方向として、新たに営業プロフェッショナルという人材の捉え方を提案するもので、背景には組織内プロフェッショナルの考え方がある。すなわち、従来のやり方では、今日の複雑な営業職務を迅速かつ正確に進めることは次第に困難になり、プロフェッショナル化の方向で、職務の専門性の確立、組織化、情報化の進展が重要と思われる。最後に、営業職の専門性と育成にみる変化を確認すると共に、今後の課題やナレッジ・マネジメントなど新たな方向性を示唆し、全体のまとめとする。
- 2005-09-30
著者
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