グローバル・リテーラーの国際展開とHRM : カルフールを事例として(サービス企業のグローバル戦略)

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本稿は、多国籍小売業であるカルフールの世界本社におけるヒアリング結果に基づき、同社の本社組織の特徴と機能、海外派遣者の状況、経営理念等の浸透度合いとその方法、後継者育成計画、グループ企業内でのノウハウの移転、昇進とキャリア形成、それに人事評価のあり方などの側面について検討を加え、最後にそれらに基づき考察を加えたものである。その結果、以下の点が明らかとなった。カルフールの国際展開はきわめて急速であり、しかも他企業とのM&Aを伴うものであったがゆえに、グループ企業全体を包含するような経営理念や人的資源管理のシステムはまだ開発されたばかりで、浸透が図られている最中にある。このため、グループ全体を対象とするマネジメント研修体制の整備は今後の課題となっているし、海外派遣者の研修制度の充実や帰任者のための研修や制度的フォロー、さらにはフランスを基盤とするカルフールの企業文化やその強みの抽出やその伝播の制度的保証もさらに充実されていく必要がある。これまでもまた現在も事業の展開が急速なため、早急な人材育成が各国で図られざるを得なかったためフランスからの派遣者で対応することもやむを得なかった面が強いが、2003年に世界的に後継者育成の一環として導入されたハイ・ポテンシャル人材の育成がどのように運営されていくのか興味深い。カルフールのアジア展開における仮説検証型の議論については、アジア各地におけるオペレーションの事例研究の蓄積が不可避であり、その一部はすでに実施されているとはいえ、基本的には今後の課題として残された。
2005-09-30

グローバル・リテーラーの国際展開とHRM : カルフールを事例として(サービス企業のグローバル戦略)

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