脳性麻痺の科学的トレーニングについて : 陸上競技を中心にして
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概要
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本研究は脳性麻痺者のスポーツに着眼し、100m走での運動能力の差による相違を筋断面積と筋力、動作速度、ミドルパワーについて運動能力別に比較検討する。さらに、脳性麻痺者に対する科学的トレーニングについて、日本でトップレベルの選手1名について追跡調査し、脳性麻痺者の短距離走に必要な能力について検討を試みる。対象はアテトーゼを主徴とする走行可能な脳性麻痺者3名(日本選手権参加レベル2名、その他1名)、痙直型片麻痺者1名(日本選手権参加レベル)、走行可能な痙直型脳性麻痺者1名、手すり使用で歩行可能な痙直型脳性麻痺者1名(日常生活は車椅子使用)、歩行不可能で車椅子使用の痙直型脳性麻痺者1名、平均年齢27.4歳男性7名であった。その中でアテトーゼを主徴とする走行可能な脳性麻痺者1名(日本選手権参加レベル)については、定期的に合計10回測定した。測定項目は(1)形態・身体組成(身長・体重・体脂肪率)(2)MRI画像(大腰筋断面積、大腿部・下腿部筋断面積など)(3)動作速度(膝振り上げ速度・膝振り下ろし速度)(4)等速性筋力(膝関節・股関節の伸展・屈曲の筋力)(5)無酸素性能力:ミドルパワー(30秒間の自転車エルゴメーター)である。本研究において、等速性筋力、動作速度については歩行可能な知的障害のない軽度、中程度の脳性麻痺者であれば測定が可能である。今回の検査により、脳性麻痺者において走行能力の高い者ほど筋の断面積が大きく、車椅子使用者で歩行能力の低い者ほど筋の発達が悪いことが示唆された。また、動作速度、等速性筋力も走行能力の高い者ほど高い傾向が認められている。短距離走の記録向上にとってミドルパワー、動作速度、筋力などの能力が必要である。動作速度は膝振り下ろし速度、筋力については膝関節屈曲力の重要性が示唆された。
- 2005-03-31
著者
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