国際合弁企業と知識創造 : 日系企業を対象とする実証研究
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
本研究の目的は、(1)日系国際合弁企業の知識創造プロセスを規定している環境状況の特定化、(2)合弁企業における知識創造プロセスと組織成果との相互関係の解明である。さらに、分析の結果にもとづいて、日系国際合弁企業の設立と運営に関して5つの実践的な提言を行った。国際経営学の分野における合弁事業に関する従来の研究は、内部化理論、資源依存理論、ゲーム理論などにもとづいて議論されてきた。このような理論にもとづく分析は、わが国においてもいくつか行われてきたが、未解明の経営現象も少なくない。他方、近年、急速に発展している知識経営学の分野において、知識創造モデルがさまざまな企業活動の分析に用いられてきた。しかし、合弁事業を分析するための理論的枠組として知識創造モデルを用いた実証研究は皆無である。本研究では、知識創造モデルを分析視角とし、日系国際合弁企業(436 社)の知識創造プロセスの特徴の解明を試みた。分析の結果、次の2点を含むいくつかの興味ある分析結果が得られた。(1)日系国際合弁企業の知識創造は、知識の表出化のプロセスを重視する日本企業の知識創造よりも、知識の連結化のプロセスを重視する欧米企業の知識創造に近い。(2)日本本社の出資比率が低い日系国際合弁企業の場合ほど、知識の連結化と内面化はより広範に展開される。本研究の意義は、明確な理論的枠組である知識創造モデルにもとづく実証的な分析によって、全世界で展開されている日系国際合弁企業における知識創造プロセスの特徴を正確に解明した点である。
- 北海道大学の論文
- 2004-06-10