食草に含まれる重金属が蝶の成長に与える影響について : カドミウムがモンシロチョウに与える影響を中心にして
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概要
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蝶はそれぞれ固有の植物(食草)に卵を産み,孵化した幼虫はその食草を食べて成長し,蛹になり,更に親蝶へと羽化することはよく知られた事実である.本研究は、土壌中に含まれる有害物質である重金属(ここではカドミウム)含有環境下に植えた食草を食べて育った蝶にどのような影響が現れるかを科学的に分析したものである.蝶の種類としては、主にモンシロチョウを用い,食草としてアブラナ科植物である貝割れ大根を用いて実験を行った.その結果,カドミウムが土壌から貝割れ大根へ,またモンシロチョウヘと相当な割合(2割程度)で流入することが明らかになった.また,カドミウムが成長の一つの指標である蛹の重量や,生殖能力の指標である卵の孵化率に重大な影響を与えることも明らかになった.更に,同じカドミウム含有環境下で生まれ育った第二世代目の蝶には親である第一世代のほぼ2倍のカドミウムが蓄積されることも測定された.これら実測データを基に得られた結果はいずれも示唆に富むものであり有意義であると思われる.
著者
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