対馬の常緑濶葉樹林の着生蘚苔類群落。日本着生蘚苔類フロラの研究。19
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概要
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対馬の有明山及び竜良山で昭和44年11月に調査した着生蘚苔類群落について報告した。竜良山中腹, 海抜270m(調査地点A)と有明山中腹, 海抜250m(調査地点B)の両調査地点は, 何れもアカガシとシイを優占種とする常緑濶葉樹林である。調査は伐倒直後の8本の樹木について, 基部より枝先まで行い, 正確な種の同定や被度の計測は研究室に資料を持ち帰って行なった。以上2地点の他, 比較のため有明山山頂附近のアカガシ林(調査地点C)の6本の立木についても調査を行なった。調査木上に出現した49種(蘚類24種, 苔類25種)の蘚苔類の被度と頻度は表1∿6に示した。竜良山及び有明山中腹の着生蘚苔類群落は, 今までに調査した九州や四国各地での結果と較べ, 種数・被度共に貧弱である(例えば宮崎県猪の八重では一本のイチイガシ上に83種を記録した)。しかし, 有明山山頂附近の樹幹はヒメコクサゴケ, キダチヒラゴケ, ヒムロゴケ等の大形の蘚類によって構成された群落におおわれ, その被度はしばしば100%に達する。これは山頂附近では雲霧などにより湿度条件が良好なためであろう。蘚苔類の生育型を調べると, 斜面では小形のマット状や密着型の種が多く, 山頂附近では樹状や羽状型の大形の種が多い。今回着生蘚苔類として記録された49種のうちの10種は, 今まで対馬に未記録であった(井上, 高木各氏の論文参照)。このうちの5種は微小なクサリゴケ科の苔類で, 熱帯地方から西南日本にかけて分布する種である。これらは対応では主に樹幹上部ないしは樹冠部に出現していて, 被度は非常に低い。
- 国立科学博物館の論文
- 1970-10-20
著者
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