シェーグレン症候群(SS)唾液腺上皮細胞におけるinducible nitric oxide synthase(iNOS)発現とnitric oxide(NO)産生
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概要
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シェーグレン症候群(SS)は唾液腺の慢性炎症から組織障害が進行し,唾液腺機能の廃絶に至る自己免疫疾患である。近年SS唾液腺の組織障害にnitric oxide(NO)の関与の可能性が指摘されている。NOはnitric oxide synthase(NOS)によって生成され,炎症性病変では主にinducible nitric oxide synthase(iNOS)が関与している。今回,口唇小唾液腺組織および培養上皮細胞を用い,iNOS発現細胞の同定,遺伝子および蛋白発現,NO産生とiNOS阻害剤の効果を検討した。免疫組織学的検討では,SS唾液腺において,主に導管上皮細胞にiNOS発現が認められた。培養上皮細胞を用いた検討では,IFN-γ,IL-1β,TNF-αなどのサイトカイン刺激4時間後よりiNOSmRNA,蛋白の発現を認め,刺激24時間後より有意なNO産生増大を認めた(P<0.05)。また,刺激前,4,8時間後の時点でSS群と非SS群でNO産生量に有意差が見られた(P<0.05)。培養上清中にiNos阻害剤を添加すると6例中3例(SS1例,非SS2例)でNO産生が抑制された。以上よりSS唾液腺では上皮細胞がサイトカイン刺激によりiNOSを発現し,NOを産生することが示され,iNOS阻害剤によりSSにおける唾液線の組織障害が抑制される可能性が示唆された。
- 金沢医科大学の論文
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