組織の衰退メカニズムについて(清水龍瑩教授退任記念号)
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概要
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本論文は組織の衰退過程に焦点を当て,衰退の原因となる組織内外の諸要因,組織内部に生じる衰退メカニズムについて検討したものである。組織の衰退は,成長や発展が何等かの原因で停滞し,減少傾向に向かった場合に名づけられる現象であるが,その原因は環境の特性から生じる要因と,組織内部から生じる要因に2分して捉えられる。前者の環境変化の要因は,環境変化の特性,環境変化の連続性によって分類すると,侵食,収縮,分解,崩壊の4つの衰退類型に分類することができる。また,後者の組織要因は,組織的な萎縮,脆弱性,適法性・合法性の欠如,環境のエントロピーに4分類される。組織が衰退する過程は,組織の内部要因と環境要因とが相互作用しあった複雑なプロセスであるが,1)盲目,2)非活動,3)誤った行動,4)危機,5)死滅の5段階を経て進行すると仮定される。しかも衰退段階が深く進行すると,ターンアラウンドに必要な努力もますます増加し,極めて困難になる。組織の死滅である倒産は,相対的な弱さの兆候がかなり初期の段階から明確になり,その弱点が時間の経過とともに拡大していくスパイラルな過程であると考えられる。この過程は,組織成長をもたらす好循環の過程に対して,組織衰退をもたらす悪循環の過程として捉えられる。以上のことから,衰退からターンアラウンドさせるためには,衰退段階に対応したマネジメントが極めて重要であることがわかる。
- 慶應義塾大学の論文
- 1994-06-25
著者
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