価値観の構造に関する研究(序報) : 結婚観・職業観・政治意識の関係系
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概要
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本研究は結婚観・職業観・政治意識の相補的関係を青年期を中心に分析することを目的として進められた。具体的研究課題として次の2点が問題とされた。一つは,結婚観・職業観・政治意識の関係系のなかで中心的な役割をもっている価値観は何か。他は,これら三つの関係は生活態度(「保守的態度」,「革新的態度」の二系列)の相異によってどのような変域をもっているかを分析することであった。本報告は,今後の研究の発展のために特に方法論の検討にあてられた。一定の手続きのもとに作成された結婚観,職業観,政治意識に関する「保守的な内容をもつ意見」と「革新的な内容をもつ意見」計30項目を用いて個別面接調査法(5件法)によって資料が蒐集された。被調査者は女子学生75名(18-19才),うち結果の整理に用いられたのは生活態度の自己評定において「保守的態度」,「革新的態度」をもっている者各々30名計60名である(あいまいな態度表現を行った者が除かれた)。その結果,次のような傾向を見いだした。1)保守的態度をもっていると自己評定している者は,政治意識と結婚観とは密なる関係で価値指向しておらず,むしろ各々独立した系をもっていること,さらに,職業観と結婚観は密関していることから,究極的には,結婚観と職業観との系と政治意識の系に二分される関係を有している。2)革新的態度をもっていると自己評定している者は,三領域の関係系に一定の共通した系をもっている。3)保守的態度,革新的態度の各々に占める結婚観の役割に相異がみられようとも,三領域の関係系の中でもっとも価値指向の方向が困難なものは結婚観である。4)それ故,三領域の関係は,いずれも同一の位置にあるのではなく,生活態度の「保守性」「革新性」をより強める契機は結婚観に存するといえよう。三領域間の関係系の内容的質的構造分析は,今後の研究課題である。The purpose of this study is to investigate the structure of attitude toward value systems (the attitude toward marriage, occupation and politics) in adolesconce. The subjects were 75 students (female), aged from 18 to 19. Procedure: Survey interview method (interviewer: Akiba). The subjects are divided into two groups (conservative attitude, progressive attitude). The questionnaire (30 items) on the conservative or progressive view toward marriage, occupation and politics is presented two groups. The correlations among areas of three values (the attitude toward marriage, occupation and politics) are computed. The main results are as follows: The three areas of values on the conservative attitude formed two clusters (marriage, occupation), (politics). The three areas of values on the progressive attitude have a common value system. The center of attitude toward value systems (the correlations among areas of the three values) on the conservative attitude is the areas of the value toward marriage.
- 大阪教育大学の論文
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