期待に基づく円滑性追跡眼球運動の準備(バイオサイバネティックス, ニューロコンピューティング)
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
静止している視標を突然揺らすことで誘発される滑らかな眼球運動の大きさは, 直後にその視標が動き出し, 円滑性追跡眼球運動を行わなければならないことが予期できる状況の方が, 視標は動き出さず, 円滑性追跡眼球運動を行う必要がないことが予期できる状況よりも大きいことが報告されている.これは, 過去の経験から円滑性追跡眼球運動が予期できるときには, 視覚的な動きの信号を滑らかな眼球運動へと変換するときの増幅度を高めて運動開始に備えている可能性を示唆する.本論文では, 予期に基づき上昇する視覚-運動情報変換の増幅度が, 未来に起きるできごとに対する期待の影響を受けるか否かを明らかにするために, 視標が動くか否か不確かな状況における円滑性追跡眼球運動の準備の行われ方をヒトで調べた.視標が動く確率が0, 0.25, 0.5, 0.75, 1のときに, 静止している視標を突然揺らすことで誘発される滑らかな眼球運動を計測したところ, 視標が動く確率が大きくなるにつれ, 視標の揺れに対する応答は連続的に大きくなることが分かった.本論文の結果は, 生体は, 視標が動くことへの期待を反映させて, 円滑性追跡眼球運動の準備を進行させている可能性を示唆する.
- 2005-12-01
著者
関連論文
- 追跡眼球運動関連機能におけるヒトMT/MST野の相違 (ニューロコンピューティング)
- PROFILE
- 研究領域外からの情報に期すもの
- 登上線維入力が小脳プルキンエ細胞の活動に与える影響(脳・ヒューマンモデリング1, 脳・ヒューマンモデリング, 一般)
- 追跡眼球運動関連機能におけるヒトMT/MST野の相違(脳活動の計測と解析,一般)
- 期待に基づく円滑性追跡眼球運動の準備(バイオサイバネティックス, ニューロコンピューティング)
- PROFILE
- 前庭動眼反射の視覚的バックアップ機構