尿中成長ホルモン濃度を用いた新しい成長評価の試み : 骨格性 III 級の下顎骨の成長能に対して
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概要
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尿中GHの測定が歯科矯正臨床における新しい成長発育の評価指標となり得るか否かをを年間身長増加量, 下顎骨増加量, 尿中GHの測定値を用いて検討した.資料は初診時8歳2カ月∿19歳7カ月の女性30名, ANB+1.0∿-2.5度の骨格性III級症例とした.結果 : 1. GHは8歳3.7(±3.00)pg/mg, 11歳で最大22.0(±8.49)pg/mgを示し以後16歳9.9(±3.81)pg/mgまで徐々に減少した.それ以後は10pg/mg前後の値で安定していた.2. 身長は9歳5.5(±1.05)cm/y, 10歳で最大8.9(±6.15)cm/yを示しその後徐々に減少した.3. 下顎骨は9歳10.1(±2.00)mm/y, 10歳で最大10.6(±5.83)mm/yその後徐々に減少がみられた.4. 身長と下顎骨のピークは10歳, 1年遅れでGHのピークがみられたが変化様相は相互に類似傾向がみられた.5. 身長と下顎骨, GHと下顎骨, GHと身長の相関はそれぞれ+0.80, +0.59, +0.48でいずれも有意の相関を示した.以上のことからGH測定は下顎骨の成長評価指標としての精度は劣るものの成長発育能を評価し得る指標となる可能性が示唆された.
- 日本矯正歯科学会の論文
著者
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須澤 徹夫
昭和大学歯学部口腔生化学教室
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小澤 浩之
昭和大学歯学部歯科矯正学教室
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須澤 徹夫
昭和大学歯学部矯正学教室
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小澤 浩之
昭和大学歯学部矯正学教室
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平出 隆俊
昭和大学歯学部歯科矯正学教室
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