要介護高齢者の摂食障害発生要因に関する研究 : 第1報在宅要介護高齢者の歯科的主訴発生時期

概要

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本研究は,在宅要介護高齢者の歯科的主訴と希望する歯科治療を調査し,摂食障害発生要因を解明することを目的として行われた。調査は,わが国の都市部で訪問歯科診療を希望した1,055人を対象に実施した。歯科治療を希望した要介護高齢者に対して,質問紙に基づき面接により,歯科的主訴,希望する歯科治療,口腔内状況,義歯の咀嚼状況,全身状態を調査した。さらに,要介護となるにいたった原因疾患の発生時期,要介護状態となった時期,および希望した歯科治療の対象となる歯科疾患の主訴発生時期についても調査した。結果は次のとおりであった。1.要介護者の義歯治療の必要性が生ずる原因として,要介護状態となることがかなりの影響を及ぼすことが把握された。2.訪問歯科診療で希望する歯科治療は,義歯治療関係が73.5%と最も多く,次いで歯周治療関係28.8%,う蝕治療関係23.6%であった。3.歯科の主訴は,要介護となってから12ヵ月以内に37.0%,12から24ヵ月以内に16.8%,24から36ヵ月以内に11.3%が発生していた。4.要介護状態発生から歯科的主訴発生までの期間を歯科治療内容別に比較すると,義歯はう蝕・歯周疾患より早いことが確認された。5.年齢群別に要介護状態発生から歯科的主訴発生までの期間をみると,後期高齢者である75〜84歳が最も早いことが認められた。6.要介護前の義歯による咀嚼状況の違いが,要介護後の摂食障害の発生時期に関与しないことが認められた。
有限責任中間法人日本口腔衛生学会の論文
2002-07-30

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