卒後臨床研修における顎関節 MRI 読影トレーニングの一方法
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概要
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核磁気共鳴画像(MRI)は今や顎関節内障の診断において最も確かな方法として使用されているが, その読影のトレーニング方法に関してはこれまでほとんど報告がなされていない.そこでわれわれは, 卒後臨床研修における顎関節MRI読影トレーニングの一方法を考案し, それが有効であるかどうかを検討した.学生時代に顎関節MRI読影トレーニングを十分受けていない卒後臨床研修中の研修医と大学院生12名を被験者とした.臨床所見と関連性の高いOrsiniらの読影基準に基づいて, 顎関節症患者の連続サンプルから20関節を選び, 各被験者ごとにその開閉口位のMRIから顎関節円板動態を診断する読影テストが行われた.読影時間は各関節30秒以内とし, 読影テスト終了後, 各被験者の正答率ならびに正解との一致度(CohenのKappa値)が計算され, その結果が公表された.その後, 各被験者の間違いが関節ごとに明らかにされ, 正しい読影方法が教授された.終了したテスト問題はコンピューター内に保存し, いつでも閲覧・復習できるようにした.異なる資料を用いて, 2週間毎に読影テストとその解説が行われ, それらが計3回行われた.平均正答率と平均Kappa値は, 読影トレーニングを繰り返すごとに向上し, 3回目の読影テストの平均値は1, 2回目と比べて有意に高い値を示すとともに, 臨床上十分許容できる範囲に達した.本読影トレーニングに要した時間数はのべ約7時間であった.以上より, 本法は卒後臨床研修において, 研修中の歯科医師の顎関節MRI読影能力を効率的に向上させることが示唆された.
- 日本矯正歯科学会の論文
著者
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窪木 拓男
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 インプラント再生補綴学分野
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山本 照子
東北大・歯
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窪木 拓男
岡山大学大学院医歯学総合研究科 口腔・顎・顔面機能再生制御学講座 顎口腔機能制御学分野
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窪木 拓男
岡山大学大学院 医歯薬学総合研究科 顎口腔機能制御学分野
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前川 賢治
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 インプラント再生補綴学分野
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水口 一
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 インプラント再生補綴学分野
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宮脇 正一
岡山大歯
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矢谷 博文
岡山大学大学院医歯学総合研究科顎口腔機能制御学分野
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矢谷 博文
岡山大学大学院 医歯学総合研究科 顎口腔機能制御学分野
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宮脇 正一
鹿児島大
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宮脇 正一
岡山大学 歯学部 共用総合試験部会
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宮脇 正一
鹿児島大大学院発生発達成育学講座顎顔面育成学分野
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宮脇 正一
岡山大学大学院医歯学総合研究科 機能再生・再建科学専攻 顎顔面口腔矯正学分野
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山下 和夫
岡山大学大学院医歯学総合研究科顎顔面口腔矯正学分野
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山本 照子
岡山大学大学院医歯学総合研究科顎顔面口腔矯正学分野
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水口 一
岡山大学大学院医歯学総合研究科 顎口腔機能制御学分野
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井上 雅秀
岡山大学大学院医歯学総合研究科顎顔面口腔矯正学分野
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片山 朗
岡山大学大学院医歯学総合研究科顎顔面口腔矯正学分野
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