反対咬合者の予後の推定 : 思春期前および親の顎顔面形態の影響
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概要
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思春期に矯正治療を受けた反対咬合者の経年的資料を用いて, 思春期成長後の骨格的な上下顎の前後的関係と思春期成長ピーク前や両親の顎顔面形態との関係を調べ, 反対咬合者の顎顔面成長を含む治療予後の推定の可能性について検討した.対象は九州大学歯学部附属病院矯正科において反対咬合と診断され, Hellmanの発育段階IIIC∿IVA期に矯正治療を受けた者のうち, 男子16歳, 女子14歳以上における資料を有する男子30名, 女子77名である.これらの治療開始前と最終資料採得時およびその両親の正面側面頭部X線規格写真を資料とし, 15比率(距離の比)と13角度変数を計測し, 相関分析ならびに判別分析を行った.1. 成長がほぼ終了した時期で骨格的にIII級関係の強い者のHellmanの発育段階IIIC∿IVA期における顎顔面形態は, 上顎歯槽基底前方限界の後方位と下顎同部の前方位, 小さな上顎骨前方部高径や下顎骨の前上方回転, さらに下顎骨は長軸方向に細長く, 下顎枝に対して下顎骨骨体部が長いなどの特徴を示した.また, 類似親の顎顔面形態にも上下顎骨の前後的関係, 下顎骨の前上方回転, 上顔面前方部高径に同様な特徴が認められた.2. 成長がほぼ終了した時期において∠A-N-Bが大きな群と小さな群を分類するための判別式が得られた.判別のための変数は, 患者の治療前の∠S-N-A, ∠S-N-B, 下顎骨下顎角部幅径と下顎骨体長との比率, 類似親の∠A-N-Bであった.以上より, 患者および親の顎顔面形態を考慮することにより, 成長を含めた反対咬合者の治療予後の予測性が高まることが示唆された.
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