ヘッドギアによる上顎第一大臼歯の遠心移動が上顎第二大臼歯の萌出方向に与える影響について
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概要
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ヘッドギアを用いた上顎第一大臼歯遠心移動が,上顎第二大臼歯の萌出方向に与える影響について,上顎第三大臼歯歯胚存在の有無に着目し検討することを目的とした.対象は,Angle Class II Division 1, Hellmanの歯齢IIIB期の上顎前突症例で,初期治療としてヘッドギアを1年以上装着した患者のうち,第三大臼歯歯胚が存在する8症例(存在群:男児4名,女児4名;初診時平均年齢10歳2か月)と,第三大臼歯歯胚が存在しない8症例(非存在群:男児4名,女児4名;初診時平均年齢9歳8か月)である.資料として,初診時(平均年齢9歳11か月),ヘッドギア使用終了時(平均年齢12歳0か月),経過観察終了時(平均年齢13歳7か月)の側面・正面頭部X線規格写真を用いて,各時点における上顎第一・第二大臼歯の角度および距離計測を行った.初診時における形態と,ヘッドギア使用期間,観察期間,および全期間の各変化量について2群間で比較検討し,以下の結果を得た.1.初診時では,上顎大臼歯後方部の水平距離および垂直距離ともに,存在群の方が有意に大きかった.2.ヘッドギア使用期間において,存在群では,有意な上顎第二大臼歯の遠心傾斜および頬側傾斜が認められた.3.観察期間において,存在群では,上顎第二大臼歯の近心移動量および下方への移動量が有意に小さかった.以上の結果から,ヘッドギアによる上顎第一大臼歯遠心移動において,上顎第三大臼歯歯胚の存在は,上顎第二大臼歯の萌出方向に影響を与える可能性が示唆された.
著者
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森山 啓司
徳島大学大学院口腔科学教育部口腔顎顔面矯正学分野
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森山 啓司
徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部顎口腔再建医学講座口腔顎顔面矯正学分野
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藤原 慎視
徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部 口腔顎顔面矯正学分野
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大庭 康雄
徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部 口腔顎顔面矯正学分野
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冨田 優子
徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部再生修復医歯学部門顎口腔再建医学講座口腔顎顔面矯正学分野
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大庭 知子
徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部再生修復医歯学部門顎口腔再建医学講座口腔顎顔面矯正学分野
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冨田 優子
徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部口腔顎顔面矯正学分野
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大庭 知子
徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部口腔顎顔面矯正学分野
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