咬合性外傷におけるサル歯周組織の変化とその修復過程に関する免疫組織化学的研究
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概要
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本研究の巨的は,咬含性外傷における歯周組織の修復過程を検索することである。そのため,アクチンフィラメントと増タ直細胞核抗原を中心に検討を行った。実験にはニホンザル9頭を用いた。実験歯は上顎左右側第二小臼歯とし,対照歯は上顎左右側第二大臼歯とした。咬合性外傷は北村の方法(1990)により発症させた。すなわちサル上下顎左右側犬歯の歯冠を除去し,ブラキシズムを生じさせた後に上顎左右側第二小臼歯頬側咬頭内斜面に,咬頭嵌合位には変化を与えないような鋳造物を装着した。動物は実験開始後2,4および8週で安楽死させた。標本の半分はへマトキシリンエオジン染色を施した。残り半分の標本はアクチンと増殖細胞核抗原(PCNA)の免疫組織化学染色を行った。病理組織学的および免疫組織化学的検索の結果,咬合性外傷は3期に分けられた。すなわち,実験開始後2週は歯周組繊の損傷期,実験開始後4週と8週は,歯周組織の修復期と順応期に相当した。免疫組織化学的には,実験開始後2週でのPCNA陽性反応は,骨吸収窩付近の血管周囲の細胞に認められた。4週後では,PCNA陽性反応とアクチンフィラメントは歯根膜組繊内の血管周囲の細胞に多く認められた。8週後では,PCNA陽性反応とアクチンフィラメントが歯根膜組織のセメント質表面や歯槽骨表面周囲に認められた。本研究の結果により,咬合性外傷における歯周組織の細胞活性は,最初に改築された血管周囲の細胞より始まり,その後セメント質や歯槽骨周囲の細胞に発現し,歯周組織の修復をもたらすことが示唆された。
- 特定非営利活動法人日本歯周病学会の論文
- 1999-03-28
著者
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