歯と顎の大きさの年代的差異

概要

論文の詳細を見る
本研究では, 過去30年間における歯と顎の大きさの変化の様相を明らかにすることを目的とした.対象には矯正科を受診した叢生患者のうち, 歯と顎の大きさの不調和がほとんどなく, 非抜歯治療が可能であった男子20名, 女子31名の計51名を用いた.各被験者の初診時模型における歯の幅径および歯列弓・歯槽基底弓長径, 幅径を計測した.さらに, 各群の値を1960年代に報告された標準値と比較検討し, 次のような結果が得られた.1. 男子被験者群と対照群との比較では, 上顎犬歯と第二小臼歯において被験者群の値が有意に大きかった.下顎では, 第一大臼歯を除くすべての歯において, 被験者群の値が対照群より有意に大きかった.また, 歯列弓, 歯槽基底弓の大きさについては, 上顎では歯列弓長径において被験者群の値が有意に大きく, 歯槽基底弓幅径において, 被験者群の値が有意に小さかった.下顎では有意差はなかったものの被験者群の長径が大きい傾向を呈し, 幅径ではほとんど差が認められなかった.2. 女子被験者群と対照群との比較では, 上顎中切歯と第一大臼歯を除くすべての歯において被験者群の値が有意に大きかった.また, 歯列弓, 歯槽基底弓の大きさは, 上下顎ともに被験者群の長径が大きく, 幅径については両群間でほとんど差が認められなかった.以上のことより, 歯列弓, 基底弓の大きさから見た顎の大きさは著しい変化を示さなかったのに対し, 年代の移行に伴う歯冠幅径の増大が強く示唆された.
日本矯正歯科学会の論文

歯と顎の大きさの年代的差異

スポンサーリンク

概要

著者

関連論文

スポンサーリンク