小児の下顎頭の前後的位置と顎態との関連について
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概要
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本研究は, 顎関節症の自覚症状を有しない患者で顎関節症の発症因子の1つとしてあげられている下顎頭の後方偏位が, どの時期から発現し, それがどのような不正咬合や顎態にみられるのかについて調査をしたものである.対象者は, 不正咬合を主訴として来院した小児患者(6∿13歳)で, 正中線の偏位が少なく, 選別された201名である.そして, これらの症例をHellmanの咬合発育段階に従って3期に分け, また各時期における下顎頭の後方位群と前方位群に分類し, その顎態的特徴を調査した.さらに不正咬合のタイプ別に, I級タイプ群, II級タイプ群, III級タイプ群の3群に分類し, それぞれの時期における下顎頭の前後的位置(AP index)と顎態的特徴を調べた.結果 : 1. 下顎頭の後方位群は前方位群と比較して, どの咬合発育段階においても下顎骨骨体長は小さく, IIIC・IVA期には下顎骨は後方位を示し, 下顎下縁平面角は大きかった.2. II級タイプ群の中で下顎頭の後方位を示す症例はHellman IIIA, IIIB, IIIC・IVA期にはそれぞれ50%, 54%, 62%にみられ, 低年齢から発現しており, 過蓋咬合を伴う者に多かった.なお, I級タイプ群においては, 8%, 20%, 30%に, III級タイプ群では0%, 0%, 5%であった.3. II級タイプ群内では, IIIC・IVA期には後方位群は前方位群と比較して有意に, 下顎角が大きく, 上顎骨の前後径は小さかった.さらに, 下顎頭の後方偏位量が大きいほど顔面高が大きく, また下顎前歯の舌側傾斜傾向が窺われた.
- 日本矯正歯科学会の論文
- 1994-12-00
著者
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