肝線維化改善における肝幹細胞の役割

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【目的】我々は、四塩化炭素によるラット肝線維症の改善過程で間質性コラゲナーゼ(MMP-13)の発現が著明に上昇することを既に報告した。しかし、MMP-13発現細胞については十分解明されていない。また、線維化改善における他のMMPやMT-MMP、TIMPなどとの関連についても十分解明されていない。そこで、今回肝線維化改善過程におけるMMP-13発現細胞の同定およびMMP-2、MT1-MMP、TIMP-1、TIMP-2の発現について検討した。【材料と方法】肝線維症は、Wistar系雄生ラットに30%四塩化炭素を1ml/kgの濃度で腹腔内に週2回投与し作成した。8週間および12週間投与後、最終投与から2日目、5日目、7日目、14日目に肝臓を摘出し、MMPs、MT1-MMP、TIMPsの遺伝子発現を、in situ hybridization(ISH)およびRT-PCRにより検討した。MMP-13陽性細胞の解析のため、α-smooth muscle actin(α-SMA)、albumin、α-fectoprotein、CK-19、CD34、nestin、Musashi-1の発現を酵素抗体法、蛍光抗体法で検索した。【結果】肝線維症改善過程におけるISHによるMMP-13の発現は、吸収過程にある線維束に沿ってみられ、発現細胞の一部はα-SMA陽性であり肝星細胞と考えられた。他の細胞はalbumin、α-fetoprotein、ED2は陰性であった。MMP-13陽性でα-SMA陰性の細胞の性状解析のため、連続切片、ミラーイメージ切片を用いてさらにISHと酵素抗体法による検索を行ったところ、四塩化炭素12週投与群の投与中止後5日目で、一部のMMP-13陽性細胞はMusashi-1が陽性であった。Musashi-1陽性細胞は連続切片でCD34も陽性であった。一方、MMP-2、MT1-MMP、TIMP-1、TIMP-2の遺伝子発現は、RT-PCRでは四塩化炭素投与8週、12週群とも投与終了直後に最も発現が強く、改善過程では漸減したが、ISHではMMP-2およびMT1-MMP陽性細胞はともに改善過程では線維束に沿ってみられた。【結語】肝硬変モデルの改善過程では、MMP-13陽性細胞の一部は神経幹細胞であると考えられた。MMP-2、MT1-MMP、TIMP-1、TIMP-2も線維化改善に働いていることが示唆された。
日本結合組織学会の論文

肝線維化改善における肝幹細胞の役割

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