脳性運動障害に対する痙縮軽減と抗重力屈曲運動の発現を目的とした刺激方法の試み
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概要
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成人脳性麻痺者に対する治療経験から,痙縮の軽減および4ヵ月以降の正常乳児にみられる背臥位における正中位ヘの抗重力屈曲運動を引き出す2つの刺激方法を考案した。まず第1の手技は痙縮軽減を目的として,胸背部の特定の部位に5分間の持続した圧迫刺激を行った。第2の手技では抗重力屈曲運動を出現させることを目的として,足底腱膜の踵骨付着部を外側から持続的に圧迫刺激を行った。第1の手技に対しては,脳性運動障害者19例36下肢にSLRspasms-angleと足クローヌスの回数をそれぞれ5段階に別けて判定し,判定3以上(SLR10度以上の改善,足クローヌスは出現回数の減少とアキレス腱の伸張性の増大)を有効判定として評価した。その結果,それぞれの有効判定率でSLRspasms-angleを評価できた10例20下肢の改善度は95.0%であり,足クローヌス出現様式を評価できたl5例27下肢の改善度は81.4%であった。第2の手技に対しては,9例に抗重力屈曲運動が出現するか否かをビデオ記録を用いて評価した。その結果,9例中8例に抗重力屈曲運動が出現することを確認できた。今回の結果から,提示した2つの刺激方法は,痙縮の軽減と抗重力屈曲運動をもたらす有効な手技であることが示唆された。
- 2003-04-20
著者
-
黒橋 佳洋
琴の浦リハビリテーションセンター若竹園
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島 欽也
島整形外科
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黒橋 佳洋
社会福祉法人 琴の浦リハビリテーションセンター若竹園
-
羽山 和生
社会福祉法人 琴の浦リハビリテーションセンター若竹園
-
羽山 和生
琴の浦リハビリテーションセンター
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