スンクスおよびラット呼吸器系における水チャンネルタンパク質の局在(解剖学)
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概要
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水チャンネルタンパク質(AQPs)の呼吸器系における発現および局在を食虫目のスンクスと齧歯類のラットについて比較した.これまで呼吸器系で発現が確認されているAQP1, AQP3, AQP4, およびAQP5について, 鼻粘膜, 気管, および肺組織に対する免疫組織化学を行った.AQP1はそれぞれの組織において, 両種ともに上皮下血管内皮に局在していた.また, 線維芽細胞はラットにおいて各組織とも反応が認められたが, スンクスでは上気道のみにみられた.よって両種ともにAQP1は結合組織中の水の移動に働くことが示唆された.AQP3およびAQP4はラットでは鼻粘膜および気管の上皮細胞と基底細胞に強い発現が認められたが, スンクスではほとんど観察されなかった.このことは, スンクス呼吸器系においてはAQP3およびAQP4は主要な水チャンネルではないことを示している.AQP5は, ラットでは肺胞細胞に局在するが, スンクスでは上気道の腺細胞および上皮細胞の鼻腔側に強い発現が認められた.よってAQP5はラットでは肺に, スンクスでは上気道において水の輸送を行っていることが示された.これらの組織におけるAQPの発現や局在の種間差は, AQPによる水輸送の生理的重要度が種によって異なることを示唆している.
- 2005-10-25
著者
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前田 誠司
東京大学農学部
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早川 徹
兵庫医科大学 第1解剖
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前田 誠司
兵庫医科大学解剖学第一講座
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田中 宏一
兵庫医科大学解剖学第一講座
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早川 徹
兵庫医科大学 解剖学第一講座
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関 真
兵庫医科大学解剖学第一講座
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伊東 久男
兵庫医科大学動物実験施設
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