馬伝染性貧血における^51Cr標識赤血球の寿命について
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概要
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種々の血液疾患の場合に,51Crで標識した赤血球の寿命を測定比較することによって,赤血球破壊の状態を知る方法が用いられている.各種の動物における51Cr標識赤血球の見かけの半寿命は,人で28~33日,豚で17日,犬で21~30日,ラットで18日,ウサギで12日とされるが,馬での成績はない.今回,伝貧馬の発熱時を中心として赤血球寿命を測定し,健康馬のそれと比較した.本法は,元来輸血用保存血液の活力をみるために工夫されたもので,原則として赤血球の生産と破壊が平衡状態にあり,血液量が恒常に保たれている個体に応用される.従って測定期間中に,これらの条件が変化する状態では,結果の判定に慎重を要するところである..一般に,標識赤血球注射後の血液の放射活性は,ヘマトクリット値(以下Hctと略す)で補正して,一定赤血球容積当りの,すなわち測定当初の赤血球量に直した値としてあらわす.このときの活性は,非標識赤血球に対する標識赤血球の割合として出てくるから,もし赤血球生産がおとろえていれば,寿命は延長してあらわれ,またその逆の場合も成り立つ.一方,測定期間中にHctまた赤血球が力激に減少した場合,実際に赤血球量そのものが減少していれば,活性をHctで補正しないほうが,より真実性がある.かかる点を考慮して,伝貧馬の場合の活性をHct無補正のものと二様に計算して,片対数表にプロットした.その結果,伝貧馬の赤血球の見かけの半寿命は11日,Hct無補正値は7日で,健康馬の半寿命14.96±1.98日(範囲12.6~18.5)に比べて明らかにその短縮を認めた.伝貧馬の貧血機転については多数の見解があるが,その多くは形態学的な所見によるもので,明確さを欠いている.本実1験によって,伝貧馬の貧血は,少なくとも赤血球ヌ.]ジ命の短縮,すなわち溶血性貧血の範躊に属する現象によっておこることが明らかとなった.骨髄造血能の測定結果については後報する.
- 1961-06-25
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