日本の子牛6頭から検出された牛回虫の形態観察
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概要
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九州及び沖縄において, 1982〜1988年, 子牛6例の糞便に回虫科 ASCARIDIDAE の線虫が排泄された. ホルマリン固定標本として保存された雄虫7匹と雌虫21匹について, 種の同定のため形態学的観察を行った. 平均虫体長は雄虫15.64(14.0〜18.0)cm, 雌虫25.75(22.0〜34.0)cmであり, 虫卵の長径と短径のそれぞれの平均は81.6及び71.8μmであった. 虫体は半透明で柔らかく, 口唇は enlabium と prelabium の境界が明らかであり, 食道には esophageal ventriculus が観察された. また, 雄虫の尾端には鐘状突起がみられた. 雌虫における vulva の体長に対する位置は, 頭端から体長の約1/7〜1/9の距離にあった. 卵殻の表面は比較的なめらかで, 大きな波状の突起を有する褐色蛋白膜はなかった. これらの形態学的特徴は, 牛回虫 Toxocara vitulorum のものと一致した.
- 社団法人日本獣医学会の論文
- 1991-06-15
著者
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