2-ナフチル=カーバメート誘導体の除草活性

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カーバメート系の除草剤については種々提案されまた企業化されているが,ナフチル=カーバメート誘導体に関する報告は未だない。β-NAC(β-ナフチル=Nーメチルカーバメート;I)は,それ自身は除草効果を示さないが,2,4-D等の植物ホルモンに対して拮抗的に働き,またDPCAとの混合施用によりDPCAの除草効果を相乗的に高めることが竹松および近内により明らかにされている。このβ-NACを母核化合物とし,種々の2-ナフチル=カーバメート誘導体(II)について,温室内湛水土壌処理ポット試験によりタイヌビエ(Echinochloa oryzicola Vasing.)に対する除草効果および移植水稲(Oryza sativa L. cv. Nipponbare)への薬害を調べ,さらに化学構造と除草活性の関係について検討した。供試した2-ナフチル=カーバメート誘導体のいくつかは,タイヌビエの生育を強く抑制し,また移植水稲に対してはいずれの化合物も100g a.i./aの有効成分量でも薬害を示さなかった。検討結果は以下のように要約される。1)2-ナフチル=カーバメート誘導体におけるカーバメート骨格中のアミン残基の種類としては,V-アルキル-N-フェニル誘導体に弱い除草活性が認められたため,この周辺をさらに展開した。(Table 1)。2)カーバメート誘導体には酸素原子と硫黄原子の組み合わせにより4種類の系統がある。2-ナフチル=N-メチル-N-フェニルカーバメートでは,チオノ型のチオカーバメート誘導体(Fig. 1, II ; X=O, Y=S)が最も高い殺草活性を示し,カーバメート誘導体(同,X=Y=O)がそれに次いだ。チオール型チオカーバメート誘導体(同,X=S, Y=O)およびジチオカーバメート誘導体(同,X=Y=S)は活性を示さなかった。(Table 2)。3)O-2-ナフチル=N-メチル-N-フェニルカーバメート誘導体におけるN-フェニル環上の置換基に関しては,メタ置換体が高い殺草活性を示す傾向が認められた。メタ位置換基の種類としては,メトキシ基に高い除草活性が認められ,水素原子(無置換),フッ素原子がこれに次いだ。高い除草活性を得るには,N-フェニル環上の置換基が適当な大きさおよび極性を有する必要があることが示唆された。(Table 4)。5)N-(2-ピリジル)基をO-2-ナフチル=カーバメートに導入した場合,大部分の化合物で殺草活性が弱く,対応するN-フェニル誘導体と比較して活性が低下する傾向が認められた。しかし,N-(6-メトキシ-2-ピリジル)誘導体のみは対応するN-(3-メトキシフェニル)誘導体よりも高い活性を示した。(Table 5)。6)チオノ型チオカーバメートで最も高い活性を示したアミン残基である,N-(6-メトキシ-2-ピリジル-N-メチル基を用いて再度4種類の系統のカーバメートについて活性への影響を検討した。その結果,N-フェニル誘導体の場合と同じく,チオノ型チオカーバメート誘導体が最も高い活性を示した。(Table 6)供試したカーバメート誘導体の中ではO-2-ナフチル=N-(6-メトキシ2-ピリジル)-N-メチルチオカーバメートが最も高い活性を示した。
日本雑草学会の論文
1993-12-22

2-ナフチル=カーバメート誘導体の除草活性

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