除草剤5-アルキルチオ-6-クロルピリミジンの作用機作と構造活性相関
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概要
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1. 作用機作 5-アルキルチオ-6-クロルピリミジン誘導体の作用機作は、Hill反応阻害と考えられた(Table 1) 。また、これらの誘導体のいくつかは、アトラジン (2-クロル-4-エチルアミノ-6-イソプロピルアミノ-1, 3, 5-トリアジン) よりも強いHill反応阻害活性を示した。ポット試験での除草活性とHill反応阻害活性との間には、Spearmanの順位相関係数Rsで0.85と相関が認められたことからも、除草作用はHill反応阻害によるものと考えられた。2. 構造活性相関 Hill反応阻害には、ピリミジン環の4位がアミノ基であることが重要であった。2位の置換基に関しては、モノアルキルアミノ基が適当であり、アルキルの大きさについては、エチルが最も強い活性を示した。5位のアルキルチオ基に関しては、2位のアルキルアミノ基の炭素数によって、5位のアルキルチオ基の炭素数とHill反応阻害活性との関係が若干変化した(Table 1) 。除草活性と2位の置換基の相関について、4-アミノ-6-クロル-5-メチルチオピリミジン誘導体について検討した結果、メチルアミノ基、エチルアミノ基のような、Swain-LuptonのF定数がマイナスの置換基は活性が強く、ジメチルアミノ基、クロル基、メトキシ基等のF定数がプラスの置換基は活性が弱かった。この相関係数Rsは、0.88であった(Table 2) 。3. 選択性 小麦の2葉期に、DATP (化合物No.1=6-クロル-2, 4-ジアミノ-5-メチルチオピリミジン) と化合物No.3 (4-アミノ-6-クロル-2-エチルアミノ-5-メチルチオピリミジン) を処理し、小麦の光合成能を追跡した。その結果、見かけの光合成 (CO_2収支) は1日で回復し始めた(Fig. 1) 。大麦の3、 5、 7 の各葉期にDATPを処理したところ、小麦と同様に、見かけの光合成能は1日で回復し始めた。また、最も若い3葉期が最も強い阻害をうけたが、回復は最も早かった(Fig. 2) 。ビール麦についてもほぼ同様な傾向が認められた(Fig. 3)。このようにこれらの穀類は、その光合成を阻害されても回復することから、何らかの解毒機構を有すると考えられた。
- 1983-10-25
著者
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藤田 高
三井東圧化学株式会社精密化学品事業部農薬市場開発部
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榎本 祐司
三井東圧化学
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藤田 高
Life Science Business Development Department, Mitsui-Toatsu Chemicals Inc.
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藤田 高
Life Science Business Development Department Mitsui-toatsu Chemicals Inc.
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船越 安信
三井東圧化学
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北條 祥賢
三井東圧化学(株)農薬研究所
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河本 展夫
三井東圧化学(株)農薬研究所
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船越 安信
Life Science Business Development Department Mitsui Toatsu Chemicals Inc.
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