ヒエ属雑草における中胚軸成長のエチレン反応性

概要

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エチレンは, 一般に, 水生植物や両生植物のシュート成長を促進する。しかし, 水田雑草のEchinochloa oryzoidesでは, エチレンが中胚軸の成長抑制に働くことが報告されている。そこで, われわれは, わが国の水田や畑地に生育する2種3変種のヒエ属雑草を用いて, 中胚軸成長のエチレン反応性を比較検討した。エチレンは, 0.1Pa以上の濃度で, タイヌビエ中胚軸の伸長を20-30%抑制した。一方, ヒメイヌビエ, 畑地由来イヌビエ, および水田由来イヌビエでは, 0.001Paのエチレンによって, 中胚軸の伸長がそれぞれ80, 40, および28%促進された。さらに, ヒメタイヌビエの中胚軸伸長に対するエチレンの作用は, 0.001Paでは促進, 1 Pa以上では抑制であった。エチレンの作用が0.001Paというきわめて低濃度で現れること, あるいは, 同一の植物でもエチレン作用性が濃度によって変化することなどは, ヒエ属雑草の中胚軸成長系が, 受容体探索などのエチレン生理研究の実験系として有用であることを示している。
日本雑草学会の論文
1997-11-25