2,4-D抵抗性生物型ヒデリコ[Fimbristylis miliacea (L.) Vahl.]の2,4-D ジメチルアミンに対する反応と半島マレーシアのムダ平野における分布

概要

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ヒデリコ[Fimbristylis miliacea (L.) Vahl.]は, マレーシア半島の西北部に位置するムダ平野の水稲直播栽培で普通に見られるカヤツリグサ科の一年生雑草である。1975年から2,4-Dを継続使用していたグラウ村の農家水田で, 1989年に2,4-D抵抗性生物型のヒデリコが発見された。この抵抗性型ヒデリコの2,4-Dジメチルアミンに対する反応が, ポット試験によってムダ平野の別の水田で発生する感受性生物型と比較された(Fig. 1)。その結果, 感受性型ヒデリコが0.087g a.i./m^2(通常使用量)の2,4-Dジメチルアミン処理で強く影響を受け, 0.17g a.i./m^2以上の薬量で完全に枯死したのに対して, 抵抗性型ヒデリコは2.78g a.i./m^2(通常使用量の32倍)の薬量を処理してもその後回復した(Fig. 2, Fig. 3)。抵抗性個体に対する 2,4-Dジメチルアミン液剤の半数致死薬量(LD_<50>)は1.89g a.i./m^2であったが, この値は感受性個体に対する LD_<50>の29倍であった。両生物型には形態的な差異は認められず, 花序, 小穂, 果実の形態等の外部形態による抵抗性型の識別はできなかった(Table 1)。ムダ平野100ヵ所のヒデリコ多発水田から土壌を採取して, 発生してきたヒデリコに0.17g a.i./m^2の2,4-Dジメチルアミンを処理することにより抵抗性個体の有無を調査した。その結果, 5ヵ所の水田で採取した土壌から発生したヒデリコについて抵抗性個体が確認されたが, その他の95ヵ所の水田では感受性型のヒデリコが多発していた。このことから, ムダ平野における2,4-D抵抗性個体の優占度は低いと考えられた(Fig. 4)。グラウ村内の70筆の水田で抵抗性型の発生程度を調査したところ, 個々の水田における抵抗性型の割合は0〜96%と水田ごとに大きく異なったが, ヒデリコの発生量と抵抗性型の割合との関係は明らかではなかった(Fig. 5)。1992年9月に抵抗性型の割合が85.6%であった水田でその後2,4-Dを使用しなかったところ, 1994年2月までに抵抗性型の割合が1.7%まで低下した。
日本雑草学会の論文
1997-11-25

2,4-D抵抗性生物型ヒデリコ[Fimbristylis miliacea (L.) Vahl.]の2,4-D ジメチルアミンに対する反応と半島マレーシアのムダ平野における分布

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