マウス肝芽腫細胞株の樹立とその生物学的特性の解析
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概要
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我々はジエチルニトロサミン(DEN)とフェノバルビタール(PB)投与により誘発されたB6C3F_1系雄マウスの肝芽腫より細胞株(MHB-2)を樹立し, その生物学的特性について検索した.MHB-2細胞は培養時には単層で増殖した.原発腫瘍およびMHB-2細胞は, 免疫組織学的にケラチン, アルファフェトプロテイン, アルブミンに陰性であった.MHB-2細胞の超微形態学的観察では, 大型の核小体を伴う不整形の核, 豊富な遊離リボゾーム, ミエミリノソーム, デスモゾーム, 細胞表面の微絨毛様構造が認められた.本細胞株の増殖は肝細胞増殖因子により有意に促進され, 肝細胞増殖因子受容体であるc-merの発現がreverse transcription-polymerase chain reaction (RT-PCR)法により確認された.しかし, MHB-2細胞は同系, ヌード, あるいはスキッドマウスの皮下に移植しても造腫瘍性を示さなかった.本報告はマウス肝芽腫からの細胞株樹立の初報である.MHB-2細胞はマウス肝芽腫の生物学的特性の解析に有用と考えられる.
- 社団法人日本獣医学会の論文
- 2000-03-25
著者
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土屋 毅幸
三菱ウェルファーマ(株)安全性研究所
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坂入 鉄也
三菱ウェルファーマ(株)安全性研究所
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杉本 次郎
三菱ウェルファーマ(株)安全性研究所
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務台 衛
三菱ウェルファーマ(株)研究本部安全性研究所
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後藤 和広
三菱ウェルファーマ(株)研究本部安全性研究所
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坂入 鉄也
三菱東京製薬(株)医薬総合研究所安全性研究所
-
小林 潔
三菱東京製薬(株)医薬総合研究所安全性研究所
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後藤 和広
三菱東京製薬(株)医薬総合研究所安全性研究所
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土屋 毅幸
三菱東京製薬(株)医薬総合研究所安全性研究所
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杉本 次郎
三菱東京製薬(株)医薬総合研究所安全性研究所
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務台 衛
三菱東京製薬(株)医薬総合研究所安全性研究所
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小林 潔
三菱ウェルファーマ(株)基盤研究所:三菱ウェルファーマ(株)安全性研究所
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