ニワトリ前胃リンパ組織の分布と発達
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概要
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ニワトリ腺胃では, 表層上皮下, 深前胃腺の導管開口部付近, および深前胃腺組織内の3部位の粘膜固有層内にリンパ球集塊が存在していた.表層上皮下および深前胃腺開口部付近に導管を取り囲むようにして認められたリンパ球集塊は, 中心部をCD4^+Tリンパ球とTCR2^+型Tリンパ球が占め, その辺縁部をBリンパ球が占める特異なリンパ球集塊であった.CD8^+Tリンパ球とTCR1^+型Tリンパ球はこの集塊内にほぼ均一に散在していた.これらの部位でのリンパ球浸潤は, 孵卵20日齢で始めて観察された.孵化後1週齢では中心部をCD3^+リンパ球が, 周辺部をBリンパ球が占める傾向を見せ始め, その後加齢とともに次第に大型化した.透過電顕による観察では, これらのリンパ球集塊に接する粘膜上皮内および導管上皮内にM細胞の存在は認められなかった.深前胃腺内のリンパ球集塊は, Bリンパ球で構成された明瞭な胚中心をもち, それをTリンパ球が取り囲んでいた.この集塊は孵化後3週齢で初めて観察されたため, 前胃腺の腺空内に侵入した抗原物質に対抗して形成されたものと考えられた.一方, 表層上皮下の粘膜固有層内および深前胃腺開口部付近のリンパ球集塊は孵化前から存在していたため, 抗原の侵入に対して予め準備されるリンパ組織であることが推察された.
- 社団法人日本獣医学会の論文
- 2000-02-25
著者
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橋本 善春
北海道大学獣医学部家畜解剖学講座
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松本 令以
北海道大学大学院獣医学研究科比較形態機能学講座解剖学教室
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橋本 善春
北海道大学大学院獣医学研究科
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橋本 善春
北海道大学大学院獣医学研究科比較形態機能学講座解剖学教室
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