犬糸状虫症の診断における間接赤血球凝集反応の検討
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概要
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犬糸状虫より作製した4種のPBS抽出抗原についてIHA反応における特異性と鋭敏性を比較検討した. 寄生犬血清における陽性率と平均抗体価は成熟雌虫子宮内子虫(子宮内子虫)抗原では93%, 1:891であり, これは幼虫抗原(89%, 1:168)や成虫抗原(81%, 1:64)の成績を上まわるものであった. 一方, 未感染犬血清におけるfalse positiveは子宮内子虫抗原で11%であり, これと幼虫抗原(2%), 成虫抗原(2%)との間に推計学的有意差は認められなかった. また末梢血子虫抗原は子宮内子虫抗原に比べてIHA反応抗原活性が著しく低かった. 犬回虫, 犬鉤釣虫および犬鞭虫の各抗原が子宮内子虫抗原あるいは成虫抗原を用いたIHA反応に及ぼす交叉反応の影響を凝集素吸収試験により検討した結果, 腸内寄生虫抗原による影響は極めて弱いものであった. 子宮内子虫抗原と成虫抗原の抗原性の差異を凝集素吸収試験により検討した結果, 一部共通抗原も存在するが, それぞれに特異な抗原の存在が示唆された. 以上のことから子宮内子虫抗原を用いたIHA反応は種特異性が高く, かつ高抗体価の得られることから鋭敏性も高く, 犬糸状虫特異抗体の検出にきわめて有用であると考えられる.
- 1981-02-25
著者
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