犬糸虫性血色素尿症に関する研究 : 糸状虫摘出前後の中心静脈圧
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概要
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犬糸状虫性血色素尿症(caval syndrome)22例について, 糸状虫摘出手術直前と摘出直後に中心静脈圧(CVP)を測定した. 摘出後回復した19例のCVPは, 摘出前から高く101.6±35.1(S.D.)mmH_2Oであった. 17〜78匹の糸状虫を摘出した直後のCVPは全例で下降し, その平均値は摘出前より有意に低く61.0±42.7mmH_2Oとなった(P<0.001). 糸状虫摘出後, 頚静脈拍動と収縮期心内雑音は改善され, 血漿hemoglobin濃度は低下し, 血色素尿も消失した. 糸状虫摘出後死亡した3例中2例では, CVPは200mmH_2O以上の高値を示し, 激しい右心不全を示唆した. これらの例では虚脱や低体温等の末期症状が認められた. 糸状虫摘出後, 収縮期雑音の改善, 血漿hemoglobin濃度の低下, 血色素尿の消失が認められ, CVPも下降したが, その値は高く179mmH_2O以上であった. 他の1例では, 摘出前のCVPの上昇は軽く66mmH_2Oであった. この例では, 47匹の糸状虫を摘出した後も, 収縮期雑音は改善されず, CVPの下降も5mmH_2Oにとどまり, 剖検では糸状虫の三尖弁健索てん絡が確認された. 犬糸状虫性血色尿症におけるCVP上昇の主因は, 三尖弁口部位に束状に寄生する糸状虫であり, 三尖弁機能不全に起因する循環不全がこの病態の発症原因であることが示唆された.
- 社団法人日本獣医学会の論文
- 1985-10-15
著者
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