オーストラリアからの輸入肉用牛における他疾病の病変を伴ったエキノコッカス症

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推定年令2〜5才の肉用牛162頭が東北オーストラリアから輸入され,岐阜屠場で屠殺解体された。このうちの28頭について,主要臓器の病変を観察した結果,20頭(71%)の肝および肺等に嚢胞性病変,13例(46%)の肝に膿瘍,6例(21%)の肝に結節性病変,21例中18例(86%)の腸に結節性病変,3例(11%)の皮下織に結節性病変が認められた。嚢胞性病変は,直径4〜110mmの球形状を呈し,嚢胞内に水様液,クリーム様物または妙礫状物を容れるものなどがあった。これらの嚢胞の,組織学的所見では,クチクラ層と外膜構造が観察され. Echinococcous gronulosusによる病変とみなされた。しかし,原頭節や胚芽層の認められた例はなく,すべて無頭包虫で,変性壊死を伴う病変が多かった。肝膿瘍には,Fusobacterium necrophorunが原因と考えられる細菌性膿瘍と,寄生虫が主因と考えられる非細菌性膿瘍があった。肝の結節性病変は,線維芽細胞の増殖が著しい肉芽腫様病変であったが,その原因は明らかではなかった。腸の結節性病変には,膿瘍状のものと肉芽腫様のものがあったが,いずれも,Oesophagostomun radiatumによる病変と考えられた。また,皮下織の結節はOnchocerca gibsoniによる病変と一致していた。今回の検査牛では,以上のようにEchinococcusをはじめ,数種類の病変が観察され,輸出牧場が高度に汚染されてしろ事実が明らかにされた。
岐阜大学の論文
1984-12-15

オーストラリアからの輸入肉用牛における他疾病の病変を伴ったエキノコッカス症

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