モノクロナール抗体を用いた豚痘ウイルスの解析
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
豚痘ウイルス(SPV)に対する17種類のモノクロナール抗体(MAbs)を作製し, それらの性状を解析した. これらのMAbsは, 各々が認識しているポリペプチドの分子量と, 感染細胞内での蛍光抗体法による染色性から8群(A群からH群)に分類された. A, B, C, G群に属するMAbsは, 細胞質内封入体に認められる後期抗原で, その分子量は, それぞれ97kD, 65kD, 48kD, 15kDであった. D, H群に属するMAbsの認識する後期抗原の分子量は, それぞれ35kDと12kDであり, これらの抗原は, 細胞質内封入体に出現し, その後, 細胞質全体と細胞膜にも認められるようになった. F群に属するMAbは, 18kDの抗原を認識し, 感染細胞内で顆粒状に認められる後期抗原で, E群に属する32kDのMAbsは, 細胞質内封入体に認められる早期抗原であった. A群とD群からH群までの6群のMAbsは, SPVに特異的であったが, B群とC群に属するいくつかのMAbsは, 他の属のポックスウイルスと交差を示した. 即ち, B群のSP14は, オルフウイルスとウサギ線維腫ウイルスに, C群のSP24とSP32は, ワクチニアウイルス, 牛痘ウイルス, エクトロメリアウイルスとウサギ線維腫ウイルスに交差を示した. 以上から, SPV抗原には, 他の属のポックスウイルスと交差するエピトープを含む抗原が少なくとも2つはあることが示唆された.
- 社団法人日本獣医学会の論文
- 1992-08-15
著者
-
山田 雅夫
岡山大学医学部ウイルス学
-
新居 志郎
岡山大学医学部ウイルス学
-
山田 雅夫
岡山大学医学部ウイルス学教室
-
新居 志郎
新見公立短期大学
-
新居 志郎
岡山大学医学部ウイルス学教室
-
藤原 三男
岡山県家畜病性鑑定所
-
大内 紀章
岡山県家畜病性鑑定所
-
秦野 好博
岡山県津山家畜保健衛生所
-
秦野 好博
岡山県津山家畜保健衛生所:岡山大学医学部ウイルス学教室
-
大内 紀章
岡山県家畜病性鑑定所:岡山大学医学部ウイルス学教室
関連論文
- 培養細胞のニュートラルレッド取り込み減少を指標としたキノロン系抗菌薬の光毒性の検討
- 麻疹罹患経過中におけるHHV-6特異的細胞性免疫の動態
- ヒトヘルペスウイルス7初感染時に中枢神経症状を呈した3例
- RT-PCR法を用いた新生児エンテロウイルス髄膜炎の検討
- 92) 拡張型心筋症患者の心筋組織からのアデノウイルスの検出
- 興味あるウイルス学, 免疫学的所見がみられた肝機能障害を合併したHHV-7初感染の1例
- G10P11型と両面交差を示すG6P11型ウシロタウイルスの分離
- 岡山県におけるブルータングウイルスの流行と流行株の解析
- ウイルスの分類 (特別企画 ウイルス) -- (ウイルスとはなにか)
- 広範な頭蓋内病変を呈したHHV-6 variant B感染症の1例
- モノクロナール抗体を用いた豚痘ウイルスの解析
- 単純ヘルペスウイルスの潜伏感染とその機構-2-試験管内のウイルス-細胞相互作用
- 単純ヘルペスウイルスの潜伏感染とその機構-1-生体レベルの研究
- 鶏雛のカビ(Aspergillus fumigatus)性眼炎に関する病理学的観察
- 電子顕微鏡によるウイルス研究-過去, 現在, 未来-
- 単純ヘルペスウイルスの持続感染成立機構 (6月第5土曜特集 ウイルス病最前線) -- (ウイルス感染症の病態)
- ヘルペスウイルスの構造と成熟過程
- 新興感染症
- 競合的PCRによる頚管粘液中のHHV6、7のDNA定量
- ヒトヘルペスウイルス6と7の比較生物学
- ヘルペスウイルスの研究の進展
- わが国における伝染性軟属腫ウイルスゲノムの分布
- ヘルペスウイルスの研究の進展
- 岡山県下の2地区における豚痘の集団発生
- 牧野衛生基本体系確立事業の成果-3-放牧牛の血液性状所見について--黒毛和種を中心に
- ディスク法を用いた薬剤相乗効果の検討
- 乳用雄子牛のSalmonella typhimurium感染症例について
- 岡山県における豚赤痢の発生例について
- 盗食による分娩前日の第一胃切開手術
- 昭和59年から60年にかけて岡山県に発生した牛の異常産
- 「醗酵オガクズ豚舎」にみられた急性豚鞭虫症の発生状況と寄生虫学的検査
- ネオスポラ原虫による4週齢子牛の後躯麻痺