盛土による地中構造物を含む地盤の変形解析

概要

論文の詳細を見る
軟弱地盤上に盛土した場合の地中構造物を含む地盤の変形を, 主として即時変形と圧密変形に注目して, 有限要素法により解析した結果を報告している。有限要素法による解析精度を検討する目的で一次元圧密理論解・二次元圧密理論解(山口・村上, 1973)との比較を行い, 4節点アイソパラメトリック要素を地盤要素に選んでいる。また, 既に打設されている鋼管矢板壁をハリ要素で表し, 地盤要素とハリ要素の間にジョイント要素を挿入して変形解析を二次元平面ひずみ条件で行っている。解析上のインプット定数は, サンプリング試料の各種土質試験結果や, 土と鋼との付着抵抗試験結果を用いている。得られた解析結果の主なものは次のとおりである。(1)過剰間隙水圧の消散過程は鋼管矢板壁に影響され, 圧密速度が速くなること, (2)圧密の進行に伴い鋼管矢板壁と地盤との接触面でせん断破壊が進行すること, (3)地中構造物を含まない地盤の変形解析で, 有限要素法による解析結果は, オスターベルグの地中応力分布を用いた一次元圧密沈下量に比べて約50%小さい, などである。
1982-12-15