エストロジェン様化合物で汚染された河川に生息するコイ下垂体前葉のLH免疫陽性細胞の機能変化

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コイ下垂体前葉の黄体形成ホルモン(LH)免疫陽性細胞に対するエストロジェン様化合物の悪影響を免疫組織化学と計量計測法を用いて研究した.成熟雄コイを2つの汚染河川(石津川と和田川)と大阪府立食とみどりの総合技術センターの池で採取した.石津川のノニルフェノール,ビスフェノールA, 17β-エストラジオール含有濃度は和田川の3〜4倍高かった. LH免疫陽性細胞の出現率と大きさを光学顕微鏡の点算法により計測した.対照コイの繁殖期のLH免疫陽性細胞の出現率は繁殖前期と繁殖後期より有意に低かった.同一の傾向は石津川と和田川に生息するコイでも見られたが,有意差は無かった.石津川のコイのLH免疫陽性細胞の出現率は全繁殖期を通じて対照と和田川のものより有意に低かった.対照コイのLH免疫陽性細胞は繁殖期で拡大した.石津川のコイのLH免疫陽性細胞は対照のコイのものより有意に(P<0.05)小さかったが,和田川のものとは差は無かった.LH免疫陽性細胞の分泌機能の障害は,石津川に生息するコイに見られた.即ち,分泌類粒の形成と空胞形成は対照と和田川のコイと同一時期に起っていなかった.我々の所見は石津川のエストロジェン様化合物が直接あるいは精巣を介してLH免疫陽性細胞の機能を妨害していることを示唆している
社団法人日本獣医学会の論文
2003-04-25

エストロジェン様化合物で汚染された河川に生息するコイ下垂体前葉のLH免疫陽性細胞の機能変化

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