各種視標への実効輝度の適用による等視力曲線の検討

概要

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本論文では, 視標の形状にかかわらず, これを微小正方形要素に分割・近似すれば, 同一手順の繰り返しによってその実効輝度を算定することが可能であること, および, ランドルト環視標のような一般図形の細部の識別に対しても実効輝度による取扱いが可能であることを明らかにした。大月らは, 実効輝度を用いた視認能力の評価が順応過渡過程における視認に対しても可能であることを, 線視標を用いた視認実験結果に基づき明らかにしている。また, Stiehlらは, 明るさ感尺度の構成に対して, 眼球内散乱を考慮した綱膜像の輝度を視覚への入力とすることの有用性を指摘しており, 視覚系への入力を鋼膜上での測光量で捉えた実効輝度の概念は眼の視認能力を基本的に解明するにあたって非常に有効な概念であると言える。なお, 一連の研究では視標が正対比の場合についてのみ検討を加えているが, 逆対比の場合であっても実効率そのものは同一の値となる。ただし, 逆対比の場合には, 視標の輝度自体が眼の順応レベルを大きく変化させる可能性があり, 視認能力の評価にあたっては差異を生じるであろうことは容易に推測できよう。しかし, 本研究の結果, 視野上での輝度を視覚系への入力とする従来の視認評価法では推定が困難であった綱膜視細胞への実効的な刺激が測光量として明確化できることになり, 視認実験の結果から眼の順応レベルの変化による成分を分離することが可能となるため, 逆対比の視対象の視認や不均一視野における視認などの未だ十分には解明されていない諸問題についても, 実効輝度を導入することによって, 測光量に基づく合理的な解明が可能となるものと考える。さらに, この方面での研究を進めて行く予定である。
社団法人日本建築学会の論文
1984-12-30

各種視標への実効輝度の適用による等視力曲線の検討

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