ヒトに対する恐れの程度差が肉用若雌牛の追い誘導作業能率に及ぼす影響
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
3ヵ月齢まで牛舎内で人工哺乳した2頭と放牧地で自然哺乳した2頭の黒毛和種若雌牛を用いて誘導試験を行った。4ヵ月齢における逃走距離から、人工哺乳個体は自然哺乳個体と比べてヒトに対する。恐れが弱いことが示された。18ヵ月齢において、供試牛を個体別、2頭組および4頭群に組み合わせて、平均傾斜度6.7°の通路を100m誘導するのに要する時間を測定し、ウシを誘導していない時のヒトの歩行(標準歩行)時間と比較した。個体別誘導の傾斜上りでは、自然哺乳個体は標準歩行時間に近かったが、人工哺乳個体は標準歩行の1.6および2.0倍の時間を要した。傾斜下りにおいても自然哺乳個体は標準歩行時間と一致したが、人工哺乳個体は1.3および1.5倍を要した。2頭組誘導では、自然哺乳同士の組み合わせば上り下りともに標準歩行時間に近かったが、人工哺乳同士では誘導者の注意が2頭に分散されて、上りで標準歩行の2.3倍、下りで1.8倍の時間を要した。異区同士では、いずれの組み合わせも人工哺乳個体の個体誘導時間に近い値となった。4頭を1群にすると、上りは標準歩行時間の2.1倍を要し、人工哺乳個体の移動速度に制限された。しかし、下りは標準歩行時間に近く、群誘導の能率は上りと下りで大きく異なっていた。これらから、ウシのヒトへの恐れを大幅に減少させると、個体あるいは群の追い誘導能率を低下させることが明らかとなった。日本家畜管理学会誌、36(2) : 61-68、2000 1999年10月15日受付2000年2月28日受理
- 2000-08-25
著者
関連論文
- 日中に放牧した牛のルーメン内温度の変化と行動形
- パ-ソナルコンピュ-タを用いた複雑傾斜放牧地の簡易測量法
- 肉用繁殖牛の夏子生産方式における発情同期化
- ヒトに対する恐れの程度差が肉用若雌牛の追い誘導作業能率に及ぼす影響
- 80 冬季放牧後に播種したベッチ類の定着と雑草量との関係
- シリカゲルクロマトグラフィーにより分離した牛糞成分に対するウシの採食忌避反応
- シリカゲルクロマトグラフィーにより分離した牛糞成分に対するウシの採食忌避反応
- 暖地傾斜兼用草地における初冬季追播草種が雑草発生に及ぼす影響
- 41 暖地傾斜兼用草地における初冬季追播草種が雑草発生に及ぼす影響
- 黒毛和種閉鎖繁殖牛郡の体重測定順序に関与する個体要因および育成子牛の順序形成時期
- 黒毛和種育成牛のロープ誘導能率に及ぼす初期訓練および哺乳方法の影響
- 黒毛和種育成牛のロープ誘導能率に及ぼす初期訓練および哺乳方法の影響
- 追随反応を利用した初期誘導訓練における黒毛和種子牛の行動
- 黒毛和種子牛に対する生後3日間のヒトの接触処理がその後の対人反応に及ぼす影響
- 追随反応を利用した初期誘導訓練における黒毛和種子牛の行動
- 黒毛和種子牛に対する生後3日間のヒトの接触処理がその後の対人反応に及ぼす影響
- 黒毛和種育成牛の気質に及ぼす生後数日間の牛舎内収容およびヒトの存在の影響
- 黒毛和種育成牛の気質に及ぼす生後数日間の牛舎内収容およびヒトの存在の影響
- 黒毛和種去勢牛の肥育後期における粗飼料給与水準が枝肉性状および枝肉脂肪の脂肪酸組成に及ぼす影響
- 粗放的飼育管理作業の効率に関与する肉用牛の行動特性
- 冬期間におけるオーチャードゲラス茎端の発育
- 北上山系における草地立地の研究-3-袖山地区及び貞任・和山地区におけるシバ型野草地の立地特性