亜熱帯に属する石垣島におけるギニアグラスとローズグラス品種の乾物収量と永続性
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概要
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沖縄県石垣島において, ギニアグラス3品種(「ナツカゼ」, 「ナツユタカ」, 「ガットン」)と3系統(「九州3号」, 「Tift PM39」, 「Tift PM41」), グリーンパニック1品種(「ペトリー」)およびローズグラス2品種(「ハツナツ」, 「カタンボラ」)を供試して, 新規に播種を行った試験区と4年前に播種を行った試験区について, 3年間にわたって乾物収量, 生育特性, 耐乾性, 永続性および出穂等の調査を行った。供試した品種系統の中で「ナツユタカ」の3年間の合計乾物収量が, 新規播種区, 4年前播種区共に他の品種系統よりも有意に高く, 耐乾性が優れることから永続性に勝ることがわかった。「ナツユタカ」に次いで, 「九州3号」, 「Tift PM39」および「ガットン」の乾物収量と永続性が優れていた。また, 「九州3号」は特に冬期の収量と刈取り後の再生力に優れることから放牧利用品種として期待できる。温帯圏における一年生栽培において最も多収を示す「ナツカゼ」は, 播種1年目の乾物収量が「ナツユタカ」と同程度に高かったが, 他のギニアグラス品種系統よりも永続性が低かった。ローズグラス2品種とグリーンパニックはギニアグラスよりも永続性が劣り, 播種7年目に「カタンボラ」は完全に枯死した。これらの結果から, 「ナツユタカ」をはじめとする数種のギニアグラス品種系統は劣化したローズグラス草地の追播あるいは新規造成用の品種として有望であることが明らかとなった。また, 刈取時の出穂パターンより, 「ナツカゼ」, 「ナツユタカ」および「カタンボラ」は日長感応性が高いことが示唆された。「ナツユタカ」が最も出穂しやすい時期は, 石垣島では降雨の多い9月から1月であることから, 採種が困難であることも示唆された。
- 日本草地学会の論文
- 2000-12-25
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