様々な大気安定度を考慮した大気拡散の風洞実験
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概要
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プラント周辺の排ガス拡散予測で実施される風洞実験では,トレーサガスの拡がりをPasquill-Meadeなどの拡散幅に合わせることで,気流条件を設定している。しかし,現行では大気安定度が中立状態に限定されており,非中立時の調査は行われていない。特に煙源が低い場合や地形が複雑な場合には,大気安定度の変化が排ガス拡散に与える影響の評価は重要である。本稿では大型の温度成層風洞を用い,強不安定から強安定までの6つの安定度に対する,Pasquill-Meadeの鉛直拡散幅再現を試みた。それぞれの安定度における気流の乱れ強さと乱流スケールを計測し,拡散幅との関連を議論した。風洞内で得られた鉛直拡散幅はリファレンスに良く一致し,その傾向は気流の乱れ強さによって定められることが確認された。主流成分による乱流スケールは野外観測結果に示される値の近辺に分布し,鉛直成分による乱流スケールは大気安定度に応じて変化した。風速の分散は境界層特性に応じたスケーリングにより,ほぼ一定の関数値に収束し,本稿で考慮した相似則の範囲内では野外観測の傾向に一致した。これらの結果により,風洞内でPasquill-Meadeの安定度を再現することは可能と結論付け,風洞実験による非中立時大気環境アセスメントへの発展について,技術的可能性があることを示した。
- 2002-03-10
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