可動翼列を用いた大気拡散風洞実験(I) : 1時間平均濃度分布の再現
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概要
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風下距離30kmを対象として観測時間1時間の平均拡散幅を風洞内で再現する実験手法について研究し,風洞内で大きく二次流を起こす新しい加振法を開発した。風洞内に天井まで達しない3次元翼列とラフネスを配置し,翼列をランダムに加振することにより,水平方向に大きな風向変動角20度を達成した。従来の天井まで達する2次元翼列を用いる加振法と異なり,この方法では風洞軸線を中心とする強い二次流を発生させるために,大きな風向変動が得られることを示した。翼列のランダム加振時には平均風速分布,乱れ強さ,風速の頻度分布は大気中での値に対してほぼ等しく妥当な気流性状が得られた。また,ラフネス配置や加振性状を適切に選択することにより,水平方向の拡散幅σy,鉛直方向の拡散幅σzは大気中での1時間の拡散幅と等しくなった。すなわち,スパン方向の乱れ強さと乱れ頻度分布の形を再現することにより,1時間の平均濃度分布を風洞で再現できた。ただし,乱流のスケールは実機と一致していないため,煙の蛇行運動やそれによりもたらされる濃度の変動は再現されていない。
- 社団法人大気環境学会の論文
- 2000-07-10
著者
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