可動翼列を用いた大気拡散風洞実験 (III) : 蛇行の再現方法
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概要
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自然風には低周期の変動が多く含まれるために, 煙の拡散幅は観測時間によって変化し, 煙軸の方向も観測時刻と観測時間によって変化する。本研究では, 1時間の観測時間に対する拡散幅の再現に加えて, その間に観測される煙の蛇行も一致させるとともに, 1時間平均の煙軸を風洞軸線に平行にする実用的な実験法を提案した。すなわち, 風洞気流のv成分のスペクトルについて, 短時間拡散幅の増大と煙の蛇行に有効に働く周波数領域の成分のみを再現し, 煙の平均流下方向を決定する領域の成分を0にした。加えて観測時間1時間に対応するv成分の乱れ強さを発生させ, 乱流の代表的な長さスケールを自然風と一致させた。この気流中での煙の拡散は, 野外観測での1時間平均拡散幅を再現した。また慣性小領域のスペクトルから, 短時間の拡散幅は可動翼列を用いない従来の実験法で再現されている短時間拡散幅とほぼ等しいと考察した。また, 1時間平均煙軸上では, 蛇行により増大すると考えられる濃度変動が, 可動翼列法では従来の実験法より2倍程度大きくなり, 最大濃度/平均濃度比は3.3倍大きくなった。これはGiffordの蛇行モデルから推測される値とほぼ一致する。
- 社団法人大気環境学会の論文
- 2001-09-10
著者
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