欧州労働安全衛生機構(EU-OSHA)における労働関連性筋骨格系障害の研究・予防対策の動向
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概要
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欧州労働安全衛生機構(EU-OSHA)は欧州連合に加盟する15ヶ国における労働衛生問題対策を担当している.EU-OSHAでは1998年から労働関連性筋骨格系障害問題も含めた10のトピックセンターを設立した.EU諸国では労働者の30%が腰痛,17%が上下肢の筋肉痛を訴えるなど,労働関連性筋骨格系障害は深刻な問題となっている.罹患した労働者は職場だけでなく家庭生活においても苦しんでいる.EU諸国では労働関連性健康障害全般がもたらす経済的損失は国民総生産の2.6-3.8%に及び,そのうち労働関連性筋骨格系障害が40-50%を占めると試算されており労働関連性筋骨格系障害の予防自体が極めて重要な経済政策であると認識されている.EU-OSHAでは「労働関連性頚部・上肢筋骨格系障害」を1999年に,「労働関連性腰部障害の研究」を2000年に出版し,実際の職場に導入できる様々な予防方策の提案を行なった.EU-OSHAの労働関連性筋骨格系障害に関する活動で注目されるのは,その研究結果がEU諸国の政策の中で生かされるために様々な真剣な努力を払っている事である.例えば,政策作成担当者,労働組合代表者,研究者などを集めて研究成果を検討するためのセミナーを開き,その合意決議を当該問題担当の政治家に送付し,実際にその提案内容が法律として施行されるという成果を挙げている.EU諸国では労働関連性筋骨格系障害が重大な問題として残る事が確実視され,EU-OSHAでは引き続き今後も真剣な対策が続けられる.
- 社団法人日本産業衛生学会の論文
- 2002-03-20
著者
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