職域における頸動脈エコーを用いた冠疾患発症予測モデルの有用性の検討 : 内膜中膜肥厚と冠疾患発症リスクの関係
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概要
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職域における頸動脈エコーを用いた冠疾患発症予測モデルの有用性の検討-内膜中膜肥厚と冠疾患発症リスクの関係- : 武藤由香子.松下健康管理センター総合健診部-近年, 本邦において高齢化と深夜交替制勤務などの高負荷作業の拡大の中で, 冠疾患をはじめとする作業関連疾患の予防・管理対策が大きな課題となっていることをふまえ, 我々は, 1999年度より健診事後措置の一環として, フラミンガムスタディー冠疾患発症予測モデルを用いた予防的事後措置を試みてきた.今回, 臨床的な動脈硬化の指標としてIMT(intima-media thickness)を用い, 冠疾患(Coronary heart disease;CHD)リスクとの関連性を検証し, CHDリスクが客観的な動脈硬化の指標として有用であるかを検討した.max IMTと, CHDリスクおよび定健データ(血圧, FPG, ALT, 総コレステロール, HDLコレステロール, トリグリセライド, ヘモグロビン, BMI), 喫煙状況, 耐糖能異常の有無, 降圧治療の有無, 高脂血症治療の有無, それぞれの因子間の相関をSpearmanの順位相関係数を用いて検討した.max IMTとCHDリスクとの間, および収縮期血圧との間に有意差が見られ, 相関係数はそれぞれ0.30, 0.21であった.CHDリスクと動脈硬化群・非動脈硬化群との関連の検討では, max IMT1.1mm以上を動脈硬化群, 1.1mm未満を非動脈硬化群とする2群に分け, t検定を用いてCHDリスクを比較したが, 平均および標準偏差は, 動脈硬化群で21.4±9.4%, 非動脈硬化群で17.0±7.7%であり, 動脈硬化群が有意に高かった.以上の結果より, CHDリスクは客観的な動脈硬化の指標として有用であると考えられ, 事業場健康管理におけるハイリスクストラテジー構築への応用が可能と考えられた.
- 2001-09-20
著者
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花田 尚志
松下電器産業株式会社 高槻健康管理室
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伊藤 正人
松下電器産業株式会社
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伊藤 正人
松下電器産業 高槻健康管理室
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武藤 由香子
松下健康管理センター成人病管理5部
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伊藤 正人
松下健康管理センター総合検診部
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