北九州市八幡製鉄所内より捕獲された鼠に関する研究
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概要
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八幡製鉄所内に棲息する家鼠を1963年9月から10月と1964年3月の2回にわたり調査する機会を得た.鼠の捕獲には捕鼠器とクマランを使用し, 捕獲鼠は捕獲場所別に回収され, 10%ホルマリン液にて固定された.本報では家鼠の種類, 棲息場所, 繁殖状態, クマネズミ成獣の外部計測値などを検討したので, 以下要約してみる.1.秋の捕獲鼠は総数214頭で, クマネズミ198頭(92.2%), ドブネズミ15頭(7.0%), ハツカネズミ1頭(0.5%)であつた.春には総数101頭の鼠が捕獲され, クマネズミ75頭(74.1%), ドブネズミ10頭(10.0%), ハツカネズミ16頭(15.9%)であつた.2.春の捕獲鼠の大部分はクマネズミで, ハツカネズミがこれにつぎ, ドブネズミは最も少なかつた.ハツカネズミが秋期における調査より多く捕獲されていることはハツカネズミの繁殖の上で興味深い.3.秋に鼠が多く捕獲された場所は休憩室であり, ついで事務室, 炊事場の順であつたが, 春はクマネズミ, ハツカネズミが詰所, 休憩室, 更衣室などでよく捕獲され, ドブネズミは芥捨場から多く捕獲された.4.秋, 春ともに雌では妊娠個体が最も多く, 哺乳, 発情期の順で雌雄ともに繁殖期にあり, 雄の大部分では睾丸が陰嚢内に降下していた.5.クマネズミ成獣(♀53, ♂49)の頭胴長は雌で平均147.26mm, 雄で平均149.45mmであつた.尾長は雌で平均167.31mm, 雄で平均163.45mmとなり, 後足長は雌で平均29.89mm, 雄で平均30.59mmであつた.また耳長は雌で平均19.98mm, 雄で平均20.18mmと計測された.
- 日本衛生動物学会の論文
- 1967-12-31
著者
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橋口 義久
日本寄生虫学会教育
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宮原 道明
九州大学医療技術短期大学部
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浜島 房則
九州大学医学部寄生虫学教室
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橋口 義久
九州大学医学部寄生虫学教室
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宮原 道明
九州大学医学部附属病院中央臨床検査室
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宮原 道明
九州大学医学部保健学科検査技術科学専攻
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