新潟県におけるヌカカの観察
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概要
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昭和31年5月から10月まで新潟県内の4市8郡において主にLight trapと電燈用虫取りカバーによる夜間採集, 1部の地区ではBiting collection (人おとり)を行つて, ヌカカの分布調査を実施した.採集したヌカカはCulicoides属について分類を行い, C. arakawae, C. arcuatus, C. aterinervis, C. circumscriptus, C. erairai, C. matsuzawai, C. odibilis, C. pictimargo, C. ponkikiri, C. pulicaris, C. sigaensis, C. sitinohensisおよびC. unguisの13種, 他に未同定の1種, 計14種を認めた.これらのヌカカの分布状況は, 海岸に沿う平野部およびこれにつづく丘陵地帯では, C. arakawaeが優占し, 東頚城郡の稀食塩泉地帯および佐渡の海岸部ではC. circumscriptusが多数を占めていた.また山間の福島県に接する奥只見方面では, C. matsuzawaiが多数採集された.特に県内でヌカカによる被害の著しいことで知られている東頚城郡松之山村の温泉地帯においては, 被害の実態と幼虫の調査を併せて行つた.同地で昼, 夜間に人おとり採集で得られたヌカカを調べたところ, C. circumscriptusが主要種であることがわかつた.その日週活動は日中よりも, 日没時に来襲の山が認められ, 夜間にも人家内へ侵入刺咬することを知つた.この地区におけるヌカカの主要発生源は, 温泉の廃湯を川へ流すために設けられた幅約50cm, 延長約1, 500mの廃湯溝で, 多数のC. circumscriptus幼虫がその泥床中から採集された.なおこの廃湯はNa Cl含有量約3%, pH 8.5〜10.0, 廃湯の温度は流し口附近36.5℃, 中流25℃前後である.
- 日本衛生動物学会の論文
- 1957-12-10
著者
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