有機燐剤抵抗性チカイエカの高活性カルボキシルエステラーゼ

概要

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新宿系チカイエカは有機燐殺虫剤に抵抗性を示し, 高活性カルボキシルエステラーゼ(CE)をもっている。抵抗性とCEとの関係を明らかにするために, CEの殺虫剤に関連する性質を調べた。新宿系幼虫には, E1と名付けた消化管に存在するCEと, E2と名付けた体のどの部分にもあるCEとが, ポリアクリルアミドゲル電気泳動により分離され, それぞれに対応する感受性戸塚系のCEの数倍と25∿30倍であった。E2はβ-ナフチルアセテートに対する基質特異性からBタイプCEと判別された。E1は有機燐剤一般により強く阻害され, カーバメイトによっても(10)^<-4>_Mで阻害されるが, E2はやや狭い範囲の有機燐化合物により阻害され, S-n-propyl型有機燐剤のPyraclofosには阻害されにくかった。試験した化合物のうち, E2を強く阻害した殺虫剤や共力剤ほど, それぞれ高い抵抗性比や大きな共力効果を示した。しかし, 数化合物について, CE阻害からの活性回復を基礎に解離定数を計算した結果, CEには殺虫剤分解活性がないことが明らかになった。以上のことから, 量の増加したE1,E2は, 体内に入った殺虫剤, または, その活性化体と結合して, その作用点への到達を抑える働きをしていると考えられる。
1993-03-15