牛糞内に生息するハエ類の種内競合に関する研究 : II. ノイエバエの幼虫期における過密度がもたらす生態的現象
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概要
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一定量の牛糞塊22個にノイエバエMusca hervei Villeneuveの卵を種々の密度に接種し, 飼育することによって10,084個体の蛹を得た。それらの蛹を恒温室(17.5℃, 16L : 8D)で, 調査目的ごとに飼育および計測を行い, 以下の知見を得た。1.牛糞800gより産出される蛹数が251を超えると, 密度の増大にともなって蛹の平均長径および短径が減少した(表1)。また, 成虫羽化までの平均日数は, 上記の密度水準以上では短縮される傾向があった。雌雄間では雌のほうが短かかった(表2)。2.さまざまな大きさの蛹について長径と短径との関係をみると, 雌雄とも一定の直線関係が認められた(図3)。また, 羽化時期については小型の蛹ほど早まり, その短縮は蛹の長径よりも体積とのあいだに直線関係が見られた(図1)。3.蛹の大きさ(長径と短径の幾何平均)と羽化成虫の頭幅とのあいだには雌雄とも有意な放物線関係を示し, 蛹の大きさのばらつきが成虫頭幅のそれより若干大きい傾向を示した(図4,表3)。しかし, 成虫頭幅と翅長とのあいだには雌雄とも直線関係がみられた(図5)。4.成虫の大きさ(頭幅)とその生存期間との関係については雌雄とも小型化するほど短期間となる。しかし, 雌雄間に有意差は認められなかった。
- 日本衛生動物学会の論文
- 1984-12-15
著者
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