外傷性硬膜下水腫の手術適応と手術法の選択 : CT脳槽造影と硬膜外圧持続測定の評価
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
[目的]外傷性硬膜下水腫(SDFC)における手術適応と手術法選択の決定因子を検索するために, CT脳槽造影(C-CT)と硬膜外圧持続測定(EDPM)を行い, それらの結果を検討することである.[対象・方法]1993年1月〜1997年12月までの5年間に当科に入院し, CTにてSDFCと診断された75例全例にSDFC発現後1カ月間経過観察したあとrepeat CTを施行した.repeat CTでSDFCが不変または増大群21例と吸収値変化群10例の計31例(男:女=22:9, 年齢31〜82歳, 平均年齢62.4歳, 両側:片側=20:11)を対象とした.これら31例にC-CTとEDPMを施行し, (1)検査結果, (2)手術適応と手術法の選択, (3)手術成績と予後について検討した.[結果](1)C-CTはno filling(N)11例, delayed filling(D)18例, early filling(E)2例で, NとDが29例(93.5%)と多かった.EDPMは持続高圧型(CH)9例, 間欠高圧型(IH)17例, 持続低圧型(CL)5例で, CHとIHが26例(83.9%)と多かった.(2)repeat CTで吸収値変化群, C-CTのN・D, EDPMのCH・IH, C-CTがE, EDPMがCLで症候性の群29例に手術を施行した.手術法は吸収値変化群10例に洗浄+ドレナージ術, SDFC不変・増大群でC-CTがN, EDPMがCHの6例に洗浄+オマヤ貯留槽設置術, それ以外の13例に硬膜下-腹腔内短絡術(S-Pシャント術)を施行した.再発した4例にはS-Pシャント術を施行した.(3)術後2カ月〜4年4カ月の追跡期間中, 最終的に全例SDFCは消失した.手術を施行しなかった2例は6カ月, 2年4カ月の追跡期間でCT上SDFCの増大や症状の発現は認められなかった.[結語]C-CTとEDPMはSDFCの手術適応, 手術法選択の決定因子として有用であり, 治療指針のフローチャートを作成できた.
- 日本脳神経外科コングレスの論文
- 1999-09-20
著者
関連論文
- 2.脳卒中予防の観点からみた血漿中ビタミンC濃度とビタミンC投与量(第112回ビタミンC研究委員会研究発表要旨)
- 2-II-7脳神経外科患者における血漿中ビタミンC濃度と脳卒中予防としてのビタミンC投与(第55回大会一般研究発表)
- 外傷性硬膜下水腫の手術適応と手術法の選択 : CT脳槽造影と硬膜外圧持続測定の評価
- 外傷性硬膜下水腫の手術適応と手術法の選択 : CT脳槽造影と硬膜外圧持続測定の評価
- 細菌性血管炎と多発性細菌性脳動脈瘤により反復性出血をきたした1例
- 術後 Cerebellar Mutism Syndrome を呈した小脳 Medulloblastoma の1例
- 血清α_1-antichymotrypsin値による頭蓋内疾患の予後判定 : 頭蓋内疾患130例の検討
- Cystplastic Cyst-Subarachnoid Shunt Procedure for Arachnoid Cyst of the Middle Cranial Fossa : Technical Note
- 反復性一過性脳虚血発作に対する上頸神経節切除の再評価 : 手術法の工夫と塩酸ニカルジピン併用療法による長期効果
- 側頭動脈炎に慢性硬膜下血腫を合併した1症例
- 脳ドックでの超音波血流測定による頭蓋内外動脈硬化の診断-とくにPI値の意義について-