メギ科の比較形態学的研究 : VIサンカヨウ属,ポドフィルム属およびミヤオソウ属の花の形態
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概要
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本報では、サンカヨウ属、ポドフィルム属およびミヤオソウ属の花における維管束走向を調べた。3属とも花柄ないしは子花柄において維管束は2(-3)重に配列する。ただしアメリカサンカヨウにおいては子花柄の維管束は1重に配列する。花床での維管束走向は3属で基本的に同様であるが、複雑な構造がポドフィルム属で、やや複雑な構造がミヤオソウ属で、より単純な構造がサンカヨウ属で観察された。花床での維管束走向も3属共通して、内外の2重配列となる。外側のがく片では主に外側の維管束から跡をうけ、内側のがく片では内外両方の維管束から跡をうける。花弁と雄蕊の跡は基本的に同様で2管束起源である。ポドフィルム属2種においては、それぞれ異なった方向に特殊化した雄蕊跡が観察された。3属とも花床内での維管束の規則的な分岐、融合は観察されなかった。雌蕊における維管束走向も3属について同じ特徴を示した。各雌蕊には2-3本の腹管束、1本の背管束、数本の側管束が走り、これらはすべて柱頭領域にまで達する。子房壁は大きな網目をつくる脈系でおおわれる。ポドフィルム属とミヤオソウ属においては胎座域に胎座管束系が発達し、そこから各胚珠へ跡が供給される。花の比較解剖の観点からすると、ミヤオソウ属はサンカヨウ属とポドフィルム属の中間に位置する。またこれら3属は他のメギ科植物から区別され、メギ科内で1つの分類群を構成するという見解が支持される。
- 日本植物分類学会の論文
- 1983-04-25
著者
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