メギ科の比較形態学的研究 : II ヒイラギナンテンとメギの花の形態
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概要
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本報ではメギ属,ヒイラギナンテン属の主として花における維管束走向を調べてみた.また,この結果と,メギ科の中ではこの 2 属と最も近い縁類があるとされているトガクシソウの花について得られた結果を比較してみた.メギ属,ヒイラギナンテン属の花は 3 数性で,各器官は輪生配列をする.雌芯は 1 本で花床に頂生する.外側の花被片では跡が 1 管束性で,内側の花初片,雄芯では跡が 2 管束性であることが多い.トガクシソウのように花床内で維管束が 2 重構造をとることはないが,跡の型については本質的な差異はないとみなすことができる.メギ属,ヒイラギナンテン属の雌芯には,(1-) 2-3 (-4) 本の腹管束と,1 本の背管束がある.胚珠維管束の由来は,胎座に入ってきた維管束から直接 1 本あるいは,2, 3 本が合流して,でてくる.中には腹管束からの分枝も胚珠維管束になることがある.胎座域には胎座管束がみられるのも,この 2 属の特徴である.雌芯における維管束走向も,トガクシソウのそれと基本的に違わないといえる.維管束走向,その他の形質から考えて,半基生胎座で少数の胚珠をもつメギ属,ヒイラギナンテン属の雌芯は,トガクシソウにみられるよな側膜胎座で多数の胚珠をもつ雌芯にそのもとの型を求めることができるようである.
- 日本植物分類学会の論文
- 1978-05-30
著者
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